人格を形成する遺伝要素と環境要素
人格とは、個人の特性や性格を形成する要素の集合を指し、具体的には、思考、感情、行動パターン、価値観、信念、人間関係のスタイルなどが含まれます。人格は、遺伝的要因や環境的要因、経験などによって影響を受け、時間とともに変化することもあります。アメリカの精神科医であるクロニンジャーは、人格を形成するには遺伝要素と環境要素の7つがあると唱えました。
【遺伝要素①新規性探求】「新規性探求」とは、新しいものを追求する性質です。新規性探求が低い人は計画的な行動を得意とする一方で、新しいことへのチャレンジや柔軟な対応が苦手な傾向にあります。逆に、新規性探求が高い人は、未知のことに取り組む、状況に合わせた行動を取ることが得意である一方で、計画を立てるのが苦手で行き当たりばったりの行動を取りがちです。
【遺伝要素②損害回避】「損害回避」とは、損害を避けようとする性質のことです。損害回避のスコアが高い人は、将来起こり得る損失を懸念するため、意思決定などで悩みやすい傾向が見られます。逆に損害回避が低い人は楽天的な性格であり、失敗を恐れずに大胆な行動を起こせるという特徴があります。
【遺伝要素③報酬依存】「報酬依存」とは、人から認められたい気持ちの強さを表す性質のことです。報酬依存のスコアが低い人は、冷静で客観的な行動を取れますが、他人から冷たい印象を持たれることも多いでしょう。反対に報酬依存が高い人は相手に寄り添う能力が高いですが、いき過ぎると依存的になる傾向も見られます。
【遺伝要素④固執】「固執」とは辛抱強さを示す性質のことで、低い人は諦めが早く、反対に高い人は継続力が高いです。諦めが早いと聞くと「物事をすぐに投げ出す」など、悪い印象を持たれる方も多いでしょう。しかし、裏返すと物事の見切りをつけるのが早く、気持ちを切り替えられるという長所でもあります。たとえば、営業でトップセールスの人などは固執が低いと言われます。 固執が高い人は、継続力が高いといえますが、裏返すと成果が出ない状況であっても見切りをつけることが苦手だったりします。このように各要素が高い=優れている、低い=劣っているというわけではありません。
【環境要素①自己志向】「自己志向」とは、個人としてのアイデンティティが確立できているかどうかを表す性質です。自己志向が高い人は自分に対して自信を持っており、ぶれることなく責任感のある行動を取れる傾向にあります。一方、自己志向が低い人は自己肯定感が低く、自信のない行動をとりがちです。
【環境要素②協調】「協調」は他者への思いやりを表す性質のことです。協調が高い人ほど他者の気持ちに配慮した行動を取ることができ、集団行動が得意な傾向が見られます。反対に、協調が低い人は周囲の人と協調して取り組むことが苦手です。ただ、裏返せば周囲に流されずに行動できるという長所にもなります。
【環境要素③自己超越】「自己超越」とは、“すべてのものは全体の一部である”という感覚のことで、自然や宇宙など、規模の大きなものへの関心度を表します。「時間が経つのを忘れて物事に打ち込んでいた」という経験も自己超越のひとつです。自己超越を感じられると集中力が高まり、普段以上のパフォーマンスを発揮できるようになります。
いかがでしょう、なんだか難しい話ですが、とにかく遺伝と環境的な相互作用によって私たちの人格は形成されると言うことなのですね。
心理学においては、人格を理解するためのさまざまな理論やモデルがあります。例えば、五因子理論(ビッグファイブ)が代表的ですね。
Openness(開放)
Conscientiousness(誠実性)
Extraversion(外向性)
Agreeableness(協調性)
Neuroticism(神経症的傾向)
これらの5つの主要な特性から人格を解析します。ビックファイブでは簡単に評価出来るテストがありますので、自分ってどんなんだろう?とちょっと楽しんでみてもいいですね。