<上昇停止症候群>

 上昇停止症候群は、以前部下だった人が自分より先に出世したり、同期入社した人が先に昇進した、また高い評価を受けていることを知ったのをきっかけに発症する病態です。自分自身に対する自信を喪失したり、仕事に対する無気力感を呈します。中高年期の方に発症しやすく、この病態に陥る可能性が高い方は、ドロップアウトした方だけではなく、出世のトップランナーであった方や順調な出世の道筋を重ねてきた方にも起こり得る症状です。「年と共に地位が上がり、収入が上がり、社会的な力が強まり、家庭も豊かになる」という思い込みが、突然破たんすることによって生じる心身の症状」小此木圭吾
 昇進を目標として一生懸命はたらいてきた人が、これ以上の昇進を望めないことに気づいた。つまり出世コースからの脱落や定年による心身不調の症候を言います。

過去に挫折なく順風満帆に出世街道を走ってきたエリート社員や、主に勤勉で優秀な、上昇志向型の中年のサラリーマンが、「こんなに頑張ったのに全部無駄だった。もう頑張っても同じだ」との思いが強くなることが、上昇停止症候群の原因です。負けず嫌いのサラリーマンは要注意です。ライフサイクルにおいても活力ある青年期から成人期を通過し、低下し始めた体力なども自覚することも原因と言えます。
 症状としては、あきらめ感や、自己評価の低下、無気力状態に陥り何をする気にもなれない、疲労感を感じたりするようになります。この状態が長く続くとうつ病に進展する場合が多いので、初期段階での適切な治療が必要になります。状態が悪化すると、会社に通勤して仕事をすることができなくなったり、人と話したりすることが出来なくなります。
 このような症状が出た時には早めに受診されることをお勧めします。脳波の検査をし、うつ病の治療を応用して行われることが多く、薬物療法によって治療が行われます。
*「昇進うつ病」
 上昇停止症候群とは反対に、昇進したときにうつ状態になるもので、昇進したのだから「会社の期待に応えよう力を発揮しよう」と思ったが、うまくいかない事態が生じたとき、自分は無能でその地位にふさわしくないと感じて落ちこむような状態をさします。

<窓際族症候群>

窓際族とは、日本の企業や団体の職場において、出世ラインに乗れなかった中高年サラリーマンの中で、実質的な仕事を与えられず閑職に追いやられ、遊軍的な立場に置かれた人、主に中高年の社員・職員を人を揶揄する言葉です。

 1977年(昭和52年)6月の北海道新聞のコラムで、ラインの管理職から外れた者は仕事も与えられず、窓際に追いやられたデスクで新聞を読んだり、外を眺めては時間を潰すという光景を『窓際おじさん』という言葉で載せられました。窓際族は『族』という言葉から複数人と思われますが、個人に対して使われることのほうが多いです。窓際族は、企業が終身雇用を謳っていたことから、能力や人間関係などの理由から年齢に応じた適切なポストを社内に用意できない社員であっても、定年まで雇用を続けざるをえないため確立したポストであり、人員削減を中心としたリストラが行われるようになってからは、窓際族にさえなれないのが現状です。
 さて窓際は一見すると管理職の席のようですが、実際には西日の入る悪環境であり、ていのよい厄介払いでした。

<ミドルエージ・シンドローム>

ミドルエイジ・シンドロームとは中年症候群のことであり、中年のサラリーマンが、職場の環境で起こす精神的な症状を言います。仕事熱心で猛烈(もうれつ)社員型の人に多くみられます。ミドルエイジ・シンドロームには、前出した『昇進うつ病』、『昇停止症候群』、そして仕事に熱心に打ちこみすぎてそのストレスや体力的・精神的消耗のためにうつ状態になる『過剰適応症候群』などいくつかのタイプがあります。

ミドルエイジ・シンドロームの原因には、中年のサラリーマンの勤続疲労が関わっています。長きにわたり働いてきた人が、それまでの勤続による疲労によりこの症候群を生じることが最も多い例として考えられています。働く会社内の環境や地位などが心身に大きなストレスとして負荷になることが具体的な誘因として多く挙げられており、職場環境が大きな要因となっています。
 家庭では、子どもの教育、マイホーム計画、老いた両親への責任、老後への人生設計など、抱える問題が一気に増え始めるのもこの頃です。
 ミドルエイジ・シンドロームの治療法は、基本的に、仕事が生きがいだけの自分ではなく、自分の生き方そのものや、人生観を客観的に見つめ直していくのが良いです。また、なんでも熱心に打ち込む人もいらっしゃるのでその場合は、息の抜き方を見つけるように探りながら直していくのが効果的だと言われています。

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