<アパシー・シンドローム>

別名「無気力症候群」。高学歴・管理社会に生まれた、無気力・無関心・無感動から無為の状態をきたす症候群で、青年期特有の精神現象です。生活の中心への関わりの不安に対する防衛の反応で、成熟不安・楽しめない・男性性欠如・母性依存などを取り込んだ症候群です。ありのままの自分を出せない心性などとして理解されます。

 わが国では、アパシーは選択的退却神経症とか関わりの鍵概念として、無関心・無感動・無気力を顕在化する多様な病態と言われ、大学生を中心に増加しています。 本業である仕事や勉強に対して無気力・または無感動・無関心になります。しかし「仕事に対してはやる気がないが、趣味には精を出す」という選択的に無気力感を表すのもアパシー・シンドロームの一種です。
 このように何となくやる気が出ない症状は、強いストレスから心を守るための防衛反応の逃避行動だとも言われています。本人が無気力症候群・アパシー症候群の症状に気づきにくく、また積極的に治療を受けようとしない為、克服が難しくなるケースがあるという特徴があります。しかし精神科の薬物治療やカウンセリングは効果的です。迷わずご相談ください。

<アパシー・シンドロームの特徴> 
・感情の起伏が小さくなっている    ・意欲や行動力が極端になくなる
・物事をする際に情熱を注げなくなる  ・周りのものへの関心がなくなる
・何をやっても楽しくない       ・何事にも無関心になる

<原因と考えられるもの>
1,人格形成が未熟  2,理想と現実のギャップを受け入れられない  3,主体性がなく自分の意志や意見を言えない  4,他者との競争を過剰に意識する  5,真面目で完璧主義  6,若い男性

  • 早期発見チェック項目
  • □ 本業(学業や仕事)に対して無気力である
  • □ 趣味に対しても無気力状態である
  • □ 精神状態が不安定(落ち込む、不眠、食欲低下)
  • □ 無気力が続いていることに焦っている
  • □ 完璧主義者、もしくは勝ち負けを気にする性格
  • □ 10代後半から20代前半の男性
  • 「はい」が2つ以下の人は心配ないでしょう。2~4個のひとは疑いあり。 
  •   全てに当てはまる人は、無気力症候群の可能性が高いので、専門医に受診し治療する。またカウンセリングを受けるなど早期に対処しましょう。

<青い鳥症候群>

就職しても長続きせず、「上司が悪い・会社が悪い」などと不平不満の感情を抱き退職して、もっと今の自分にふさわしいところがあるに違いない、という思い込みから、努力や忍耐をしないで、転職・転校を繰り返すことを言います。

 思春期・青年期の発達に関して、現代の青年を特徴づけるいくつかのシンドローム(症候群)がありますが、その一つが「青い鳥症候群」です。
 優秀な学歴を持ち一流企業に就職し、高い評価を得たのに、数年も経ずしてもっと良い、もっと自分を高く評価してくれる職を求めて転職を繰り返す青年の思考様式ないし行動パターンを指します。見果てぬ理想と欲望を追い求め過剰に自尊心を追求するため、大きな幸せを得ていても現状の幸福感や評価に満足できません。一つの仕事や職場・学校に安住できない落ち着かない心理状態を言います。清水将之の著書から生まれた社会不適応の症候群の概念です。
 『青年期を受験準備のみに費やして、同年輩者との情緒的交流を体験していないことが多いために、自己同一性形成を果たせず、日常の社会生活への適応力を獲得できないという一種の社会病理』(清水蔣之)

<ピーターパン・シンドローム>

大人と言う年レに達しているにもかかわらず、社会的に未熟で責任を回避する傾向があり、精神的に大人にならない、子どものままである男性を指す言葉として用いられています。心理学者ダン・カイリーが提唱しました。カイリーは「成長を拒む男性」としてパーソナリティー障害としています。

 「ピーターパン」物語は、永遠に大人にならない不思議な子どもの幻想的物語です。ピーターパンは「大人たちが自分を将来何居させるかを話し合っているのを聞いて、大人になるのをやめた」というところから、大人にならない・なりたくない若者のことを称していうようになりました。
 『甘えや依存心、自己中心的、無遠慮、シラケ、帰属感のうすれ、等の症候を示します。あまりにも早い世の中の移り変わり、既成社会への入りにくさ、そんなところから、大人としての責任をとれない精神的に未成熟な人たちが出来ている』(米山正信)

<ふれあい拒否症候群>

「ふれあい恐怖症候群」は正式な病名ではなく、表面的なつきあいはできるが深入りを恐れるという、今どきの若者が抱える精神的な構造を表す言葉として使われています。
 親の保護の下、子供の頃から他人との付き合いを避け、成人になっても同じく対人関係が苦手で、表面的な付き合いは出来るが、踏み込んだ人づきあいは逃げ腰になり、ともすると社会生活に適応出来ない症状だそうです。

会話が苦手、人間関係が怖い!あなたはそう思っていませんか?
ふれあい恐怖症候群の人は、メールやラインなどやネット上のコミュニケーション、必要最小限の表面的な付き合いはできるものの、個人的な話をしたり、悩みを打ち明けるといった深い人間関係を築くことに困難を感じてしまいます。
 もちろん、人と接することがまったくできないわけではなく、家族や友人といった特定の人間とは会話ができるし、事務的な情報伝達もこなせます。しかし、その場に居合わせた誰かと雑談をしたり、自分と異なる世代の人間や、ちょっとした知り合いとのコミュニケーションは極端に苦手です。
 他人との交流が苦手だからといって、人とふれあいたい気持ちがないというわけではありません。むしろ、親密になりたい気持ちがあるのに、実際に接触すると相手に嫌われるのではないか、どう思われるのかという恐怖心が先に立ってしまうことから、関わりを避けてしまう傾向にあるようです。

 他人との関係で傷つきたくないということは、誰でも思うものです。しかし、それを極端に恐れるのは、強い自己愛の裏返しともいわれます。背景にあるのは、他人から常に認められたい、愛情を得たいという欲求で、自分に向けられた相手の言動に過敏になります。
 そのため、実際の対話場面では過剰な自意識のために、拒否されたらどうしようという強い不安が生まれます。一方、1人でもネット等で一方向的な都合の良いコミュニケーションには不足を感じないため、普段の生活では直接的な関係を一層避けるようになります。
 どうしても、他人との関係がうまく築けず、社会生活に支障を感じる場合は、1人で抱え込まないよう、各種精神保健福祉の相談窓口を利用したり、カウンセリングを受ける、メンタルクリニックを受診するなどしましょう。不安障害などが考えられるケースでは、認知行動療法などの心理療法や薬の処方など、医学的治療が必要なこともあります。

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