<アスペルガー症候群>
2013年にアスペルガー症候群という診断名は削除されましたが、概念はまだ一般的に使用されています。 アスペルガー症候群は、他人との距離感がつかめない、相手の気持ちをくみ取れないなど他人の情緒を理解することができません。また思ったことをそのまま口にしてしまうなど、いわゆる空気が読めないためコミュニケーションをとることが苦手で、こだわりが強く、変化を嫌います。
症状の軽度にもよりますが、一方で、アスペルガー症候群は、知的能力に問題はなく得意分野で活躍している人も大勢います。何となく空気が読めないし、明らかに行動がおかしいというわけではないが、細部や差異によく気付くし、公平平等の精神が強く、真面目で律儀である、など仕事に活かしやすい特徴を併せ持つことがあります。
職場では「少し変わった人」と思われているかもしれませんが、社会生活は成立しているので、家族間でさまざまなトラブルが生じていても、あまり表面化することはない場合もあります。
予定変更が苦手、こだわりが強いなど、程度の差はあれ、どんな人にも当てはまる性格の一部ともいえます。詳しくはこちら!
<アスペルガー症候群の特徴>
光や音、味、などに敏感。
アイコンタクトが苦手、目線が合わないまたは相手の顔や目を見すぎる。
相手のしぐさや表情からの情報で相手の心を読み取ることが出来ない。
思ったことをそのままボソボソと口に出してしまう。
場にそぐわない、大人びた難しい言葉を使いたがる。
年齢にそぐわない丁寧語をよく使う。
難しい言葉などよくしゃべるが、それほど意味の理解をしていない。
相手の興味が無いのに、自分の関心があることを喋りまくる。
同年齢の子供と波長が合わない。
距離感がつかめず(男性の場合)女性との距離が妙に近すぎる。
相手の言ったことを小声で繰り返した後、返事をする。
会話でのジェスチャーや仕草が、大げさすぎたり、不自然。
真面目すぎて優遇がきかない。
行動のパターン・順序、物の配置、レイアウト、など規則正しいものにこだわる。
動作がぎこちない また手先が不器用など細かな運動能力に遅れが見有られる。
手をぶらぶら振る、ひらひらさせる、手に息をふっふっと吹きかけるなど常同運動。
意味のない衝動的な手や指の動きもしばしばみられる。
チック症を併発している場合が多い。
フワフワと飛び跳ねるような歩き方をする。
睡眠障害を起こしやすい。
・アスペルガー症候群の原因
アスペルガー症候群は、自閉症と同様に先天的な脳の機能不全による障害であると言われています。
脳のどの部分の障害であるかなど、詳細は現在もわかっていません。親の育て方が原因ではありません。
・アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群の人々には、「表情や身振り、声の抑揚、姿勢などが独特」「親しい友人関係を築けない」「慣習的な暗黙のルールが分からない」「会話で、冗談や比喩・皮肉が分からない」「興味の対象が独特で変わっている(特殊な物の収集癖があるなど)」といった特徴があります。このほかに身体の使い方がぎこちなく「不器用」な場合が多くみられます。
・幼児期のアスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群の子どもは、言語や知能の発達に遅れがないため、これまで幼児期に気づかれることがあまりありませんでした。しかし近年では、幼児期にみられる特徴が少しずつわかってきました。「ひとり遊びを好む」「人とする『ごっこ』遊びが広がりにくい」「同じ遊びを繰り返す傾向が強い」「行動がパターン化し融通がきかない」などです。保育園や幼稚園では「他の子どもにあまり関心がない」「集団で遊ばない」などの特徴がみられます。
このような子どもは集団生活ではストレスをためやすいので、できる限り早期から子どもの特徴を理解し、その子どもにあった支援を専門家に相談して、家庭や地域と連携して行うことが大切です。早期からの適切な関わりは、子どもが安心して力を伸ばしていくことにつながります。
・アスペルガー症候群の発生頻度
狭い意味でのアスペルガー症候群は約4000人に1人と言われています。しかし知的な遅れがなく言葉の流暢な非定型自閉症の人々も含めた広い意味での「アスペルガー症候群」の発生頻度は自閉症よりも多いことが知られています。
性別では男性に多いですが、女性でも診断につながらずに対人関係の悩みを抱えている人々が、これまで考えられていたよりは多いことが分かってきています。
・アスペルガー症候群の治療
アスペルガー症候群の治療は告知し自分で病気を認めることから始まります。それは考え方のくせを認識していたほうが、治療がスムーズに進むからです。アスペルガー症候群は薬で治る病気ではありませんが、症状を和らげるために使います。薬を使うことで、脳の機能を補助したり、感情の変動のしやすさやストレス耐性の低さを改善したりできます。また薬による治療だけでなく、心理療法(心理カウンセリング)や認知行動療法を合わせて行ったり、デイケアなどで社会行動を学んでいくことも大切です。
<のび太・ジャイアン症候群>
のび太・ジャイアン症候群(のびたジャイアンしょうこうぐん)は、藤子・F・不二雄の漫画作品『ドラえもん』の登場人物の、野比のび太とジャイアンに由来し、注意欠陥・多動性障害 (ADHD) の症例を、のび太とジャイアンという馴染み深いキャラクターで例えて伝えようと司馬理英子の書籍内にて命名した造語です。
ADHD(AD/HD:AttentionDeficit/HyperactivityDisorder)「注意欠陥・多動性障害」とは、注意力に欠け、落ち着きがなく、時に衝動的な行動をとる病気です。ADHDは症状のあらわれ方により、(1)多動・衝動優勢型、(2)不注意優勢型、(3)混合型、この3種類に分類されます。この3種類のタイプのうち、ついつい手が出てしまう「多動・衝動優勢型」を「ジャイアン型」、ついつい失敗を繰り返してしまう「不注意優勢型」をのび太タイプ、として考えています。
以前は子供特有のものとされてきましたが、最近では大人にも多いということが分かってきています。詳しくはこちら!
<ADHDの基本的症状>
・多動:いつも落ち着きがなく、そわそわしている。
・不注意:集中できず、気が散りやすい。
・衝動性:後先考えず、思いつきで行動してしまう。
・仕事の先延ばし傾向:―期限が守れず、仕事がたまる。
・感情の不安定性:大きくなった子供たち」
・ストレス耐性が低い:心配と不安が感情の暴発を招く。
・対人スキル・社会性の未熟:その場の空気が読めず、人の話が聞けない。
・低い自己評価―:マイナス思考と強い劣等感。
・新奇追求傾向・独創性:飽きっぽく、一つのことが長続きしない。
<ADHDのほかの症状>
・整理整頓ができず、忘れ物が多い:いつも必要な物がどこにあるか探し回る。
・低い生活の技術:計画性がなく、管理が不得意
・事故を起こしやすい:ジャイアン型が危険
・睡眠障害と昼間の居眠り:寝ていても寝不足
・習癖:女性に多い抜毛癖
・依存症や嗜癖行動に走りやすい:自己投与したがる脳
・のめり込みとマニアックな傾向:男性に多い収集癖とこだわり傾向
もちろんこれらの症状がすべて出現するわけではありません。これらにない症状をしめすこともありますし、個人差もあります。全く逆の症状を示すこともあります。だいたいの傾向としてとらえてください。次に、ADHDは症状のあらわれ方により次の3種類に分類されます。
① 多動・衝動優勢型
② 不注意優勢型
③ 混合型
この3種類のタイプのうち、ついつい手が出てしまう「多動・衝動優勢型」を「ジャイアン型」、ついつい失敗を繰り返してしまう「不注意優勢型」をのび太タイプ、として考えています。
<多動・衝動性優勢型「ジャイアンタイプ」>
衝動が抑えられず、横から割り込んでしまう
思ったことをすぐに口にしてしまう
衝動性が抑えられず、ささいなことで手を出してしまったり、大声を出したりする
ルールを無視してでも自分のやりたい気持ちを優先させてしまう
人の持っているものが気になると手に取らずにいられない
<不注意優勢型「のび太タイプ」>
忘れ物、失くしものが多い ボーっとしている
不注意のため、テストではうっかりミスを繰り返し、成績が振るわない。
自分の好きなことをボーっと考えているので、人の話を聞いていないように見える
コツコツ積み重ねるのが苦手、すぐにあきらめてしまう
行動が他の子よりワンテンポ遅れる
<混合型>
上記の不注意、多動・衝動の両方の症状がみられるもの
(不注意、多動性、衝動性のあらわれ方の度合いは人によって違います)
<治療法>
まず、一人で抱え込まずに医療機関や学校、相談機関に相談してください。ADHD・ADDは脳の機能障害によるものです。病気ではないので基本的に完治はしません。しかし適切な治療とサポートをすることによって、その症状が改善することがありますので、発達障害にたけている専門医の受診をお勧めします。Drのご判断で必要ならば投薬治療(コンサータ・ストラテラなど)を組み合わせていきます。
そして、ご本人でもどうにもならない辛さを話し合うカウンセリングの継続が効果的です。まずは家族が「出来なくて困っているのは本人」ということを理解し、子供の気持ちをサポートすることから治療は始まります。また学齢期のお子さんであれば学校と連携を取り、子供の学習の環境を整えることも大事となってきます。
家庭、学校の対処を踏まえ、家庭での接し方としては、本人なりに一生懸命やっているのです。それを踏まえて、罰ではなく、ご褒美や褒めることで適切な行動へ導いてください。ADHD・ADDのお子さんはその症状から叱られることが多く、自信を無くしてしまいがちです。他のお子さんと比べず、本人ができたことを褒めてあげてください。
指示は口頭での指示よりも、イメージ(絵やリスト表など)で伝える方が伝わりやすいです。本人がわかりやすいよう具体的に指示をしてあげてください。
また悪いことばかりでなく、多動は『フットワークが軽い、アクティブ』とも言え、マイナスの視点を変えれば、プラスになることもあります。そのためには子供に自信を持たせること、家族の理解、支援、自分のできない部分にどう向き合っていくかが大切になります。
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