境界性パーソナリティー障害

境界性パーソナリティ障害は,対人関係の不安定性および過敏性,自己像の不安定性,極度の気分変動,ならびに衝動性の広汎なパターンを特徴とします。

境界性パーソナリティ障害の人は孤独に対する耐え難さを有しますので、見捨てられることを避けるために必死で努力をし,他者が救助または面倒をみてくれるよう仕向けます。時に自殺のそぶりをみせるなどの危機を生み出す場合があります。

幼児期のストレス、例えばネグレクトや虐待、急に片親になるなどが、発症に寄与している可能性があると言われています。

自分が見捨てられたり,また自分にとって重要な人が約束に数分遅れる、または約束をキャンセルしたりすると、パニック状態に陥ったり激怒したりすることがあります。

そして、このように見捨てられるのは自分が悪いからだと考えることもあります。見捨てられることを恐れるのは1人になりたくないためとも考えられます。

このような人は,他者に対する見方を急激かつ劇的に変える傾向があります。関係の早期には、面倒をみてくれる人や恋人になる可能性のある人を理想化し,多くの時間を一緒に過ごし,あらゆるものを共有するよう求めますが、突然相手が十分に気づかってくれないと感じると幻滅し、相手を執拗にけなしたり,相手に怒ったりすることがあります。この理想化から幻滅への移行は白か黒かという思考法(善と悪の分裂,分極化)を反映していると言われています。

境界性パーソナリティ障害の人は、他者に共感し思いやりをもつことはできますが,それは必要な場合には相手が必ずそばにいると感じる場合に限られます。

参考文献:MSDマニュアル